訴訟によりタバコの喫煙を止められるかもしれない判例ができそう

二日前の12月28日のニュースだけど、時事ドットコムというサイトで ベランダで喫煙は違法=階下住民に賠償命令-名古屋地裁 という記事を読んだ。これは「ベランダで吸う煙草の煙により体調が悪化したため、階下の男性に対して損害賠償を求めた」という訴訟で、「受忍限度を越え違法」と認定された。

記事の中にある「受忍限度」とは何なのかを調べてみたが、非常に曖昧な定義になっている。

被害の程度が,社会通念上我慢できるとされる限度。この限度内では損害賠償や差し止めの請求が成立しないとされるため,公害に関する訴訟などにおいて問題となる。

主に騒音、匂い、光、振動といった主に人間の感覚に関するものはこの受忍限度で争われるみたいだけど、明確な基準が無い。ベランダでのタバコの喫煙を禁止する法律はないので、今回の裁判は受忍限度を超えたかどうかで争われたようだ。しかし、第二東京弁護士会人権擁護委員会受動喫煙防止部会のブログに「タバコ煙の場合,この量までなら生命健康に安全という安全域はありません.したがって,受動喫煙問題に受忍限度論はあてはまらないでしょう.」ともあるように、なかなかタバコの害を「受忍限度」で争うのは難しいようだ。

今回の裁判は、一回で判決が出る少額訴訟ではなく通常訴訟で争われたという点がポイントではないかと思う。過去に法人同士の裁判に少し絡んだことがあるけど、あれはかなり面倒くさい。答弁や反論を出すのは二ヶ月に一回程度だけど、判決まで優に一年はかかってしまうため、勝つことに対してよほど重要なことでない限りはまたやろうとは思わなくなる。今回の裁判では150万円の損害賠償だっため、60万円までの訴訟しか出来ない少額訴訟は選択しなかったのかもしれないけれど、ここまでお互い、かなり根気と体力のいる戦いだったのではないか。

金額だけを見ると、喫煙を続けてまた訴訟を起こされても大した金額では無いけれど、「また今回のような面倒くさい裁判を繰り返すぐらいならタバコを吸うのをやめる」と思ってくれることを期待出来る。損害賠償請求という形を取りながら、実は本当の目的であった「タバコの受動喫煙が無くなる」ことを実現出来る。

この名古屋地裁の堀内照美裁判官は、名前で検索すると「またやりました堀内 照美 裁判長のとんでも判決!」といった書き込みも見つかり、ある意味有名な裁判官らしいが、この判断についてはそこそこ妥当なのではないだろうか。喫煙をやめるように申し入れた回数や期間はわからないけど、原告の精神的苦痛を認定した上で、かつ一定の受任義務はあるとしている。嫌煙家である原告の立場としては5万円しか認定されなかったので、一見あまり割にあわない結果に終わったように見えるけど、今回のケースの場合には「裁判に勝った」ということ自体が重要だろうと思う。