ポイントカードはネット広告に近づいてくると思う

損して得取れという言葉がある。辞書で引くと、「一時的には損をしても、将来的に大きな利益になって返ってくるように考えよ」と書かれている。つまり目先のコストではなく、それによって最終的な利益がどうなるかを意識すべき、ということだ。うちの嫁の買い物方法を見ていると、きれいにその真逆のことをやっている。一言で言うと、見事にポイント商法にやられている。

「あとxx円でポイントが付くから」

そう言いながら、10円分のポイント獲得のために、100円ぐらいの、そんなに必要でもないものを追加で買ったりする。言うまでもなく、それを買わなければポイント分よりもはるかに得なんだけど、そのことを指摘すると「ポイントは女のロマンなのよ。ほっといて」という言葉で片付けられてしまう。

事業者側のポイントシステムの導入目的は、だいたい以下のどれか(あるいは複数)に当てはまると思う。

1)現金値引のかわりとして
 例:家電量販店のポイント

ポイント引き当て金やIFRS関連で混乱があるものの、期限切れで失効してしまうことも期待できるため、事業者側にとっては現金で値引きするよりも有利。顧客の囲い込みにもつながる。

2)より多くのものを購入・使用させるため
 例:x円以上のお買い上げからポイントが付く

一定金額以上で値引きや金券を提供。飲食系が多いのは、たとえポイント合わせのためとはいえ「モノ」は不要なものはなかなか買ってくれない。食べ物系だと多少余計なものを買ってもいい、と思わせやすいからかも。

3)囲い込み、継続、再訪を期待するため
 例:携帯キャリア、飲食店や販売系、飛行機のマイル

他社製品・サービスに浮気させず、いかに継続して使わせるか。最近これはうまくできていると思ったのはオムツに同梱されているポイント。オムツの使用量は多少のブレはあるけど、だいたい一定。特にオムツのサイズが変更になる時期というのはほとんど個人差が無い。オムツの追加やサイズアップの時に他社製品に浮気・乗り換えられないように、付与されるポイント数と交換できる景品のバランスが絶妙。

4)行動履歴や個人の特定のため
 例:TポイントカードやPontaカードなど

マーケティングやキャンペーン、商品開発のためのデータ収集。現時点ではデータ取集の側面が大きいと思う。今後はそれを利用して、レコメンドに使われるようになったりするのではないか?

個人の特定ができるようになるため、もうやっているのかも知れないけど、要注意顧客のトラッキングのようなことも出来るようになる。ある店で、誤解なのに「この人はこれこれこういうことがあった。クレーマーだ」と情報入力されてしまったら? 今後、クレジットカードの信用履歴のように扱われていくのかもしれない。その信用情報に価値が出てくるようになると、優良顧客として扱われるような信用情報を記入したり、あるいは望まない信用履歴を削除するようなビシネスがあらわれてくるかも。

ネット上は言うまでもなく、リアルでも行動履歴は一大ブームになっている。例えばディスプレイネットワークなどでは、ユーザがアクセスしたサイトや過去の行動などを保持している。そのユーザが別のサイトにアクセスした時にも、広告業者のシステムがリアルタイムで、そのユーザにマッチする広告を表示するようになっている。行動履歴を元にした広告などは現時点ではネットが先行しているけど、今後、リアルも追いついてくると思う。

さすがに入店情報はまだ取っていないところが多いけど、いつどこの店で何時に何を買ったかはすべてカード発行会社に吸い上げられている。(少なくとも今の所は)他店舗で入力・収集された情報を見ることは出来ないけど、発行会社にリアルタイムで問い合わせを行うような仕組みを組み合わすことで、「このユーザに何をレコメンドすればいいのか?」という情報をもらうようなことはすぐにでも出来てしまう。

一時期、デジタルサイネージが流行ったことがあった。今ではスマフォが普及したので、例えばTSUTAYAでキックアスを借りたAさんには、近隣のローソンでからあげクンを買う可能性が90%ある。クーポン券をスマフォに送って送客してみよう、というようなことも可能となる。マイノリティレポートの世界にも近いな。

対抗策としてはポイントカードを使わないことぐらいしか無い。ただコンビニだと、いちいちポイントカードが無いか聞かれるのが鬱陶しいので、つい出したくなってしまう。