電子書籍を違和感なく読むには、書き手の環境との一致が必要

月末までセールになっているということもあり、そのうち読もうと思っていたGene Mapperを、iPad mini のKindleで読んでみた。業界人にとってはニヤリとさせられる点もあり、面白く読めた。ただ、もしこれがそのまま紙に印刷されていた場合には、すごく読みづらいんじゃないかとも感じた。

文章術の本なんかを読むと、パラグラフライティング、つまり同一の内容は同一の段落にするように書かれている。ただWeb上の文章の場合には、そのルールに厳密に従ってしまうと余白が少なくなり、とても読みづらい文章になる。ただ、その文章を紙に印刷した場合には、物理的に同じサイズの文字や余白であったとしても、読みづらさを感じないことが多い。またその逆に、画面上では余白も充分で読みやすいものが、印刷して読んだ場合に情報がスカスカに感じてしまう、ということも少なくない。

媒体により、読みやすく感じる情報量は大きく異なる。文書のリズムと言い換えてもいいかもしれない。電子媒体の上で読むのと紙の上で読むのとでは、「読みやすい」と感じるリズムが異なる。ただ、Kindle上で少なくとも50冊ぐらいは漫画を読んだけど、特に紙とのズレのようなものは感じなかった。何が違うんだろう?

リアル・電子に関係なく漫画を読む時には、1ページを一つの単位として捉えているように感じる。各コマはそのページの中で繋がりを持ったパーツの一つで、それらの流れをまとめて読んでいるんだろう。コマの数はページごとにマチマチだけど、固まりとしての「ページ」は常に1ページ、あるいは多くても見開き2ページしか無い。描き手側も1〜2ページという、物理的な制約を前提として漫画を描いている。1画面の中で見える情報量も重要だけど、「1つの固まり」として認識するためには、ページめくりも大きく関わってくるんだろう。

一時期、なぜか流行ったケータイ小説。PC、携帯電話の実機、紙。同じものをそれぞれの媒体で見比べてみると、まったく別物のように感じられる。(小説の内容はともかく)実機で読んだ時にはあまり感じないのに、PCや紙で見てみた時の違和感はものすごい。多くのケータイ小説は、携帯電話そのもので書かれたらしい。書き手の環境と読み手の環境に差異があると、感覚のズレ、リズムのズレのようなものが大きくなる。画面スクロールだとそうでもないけど、ページめくりの時にはそのズレを感じやすい。書き手よりも広い環境で見るとスカスカ。逆に狭くなると、情報過多による圧迫感を感じる。

Gene Mapper は、インタビュー記事を読んで見ると、ほとんどiPhoneとiPadで書いたらしい。iPad (mini)で読んだ時に違和感を感じずに読めたのは、そのせいなんだろう。だとすると、教科書や専門書、あるいはビジネス書などのように「情報」を得ることを目的としたものならともかく、そうでない場合には電子書籍として読むのは辛いかもしれない。書籍としての出版を前提としていたり、PCの広い画面で電子書籍を意識せずに書かれたものとか。